堀江敏幸著「おぱらばん」完読

「おぱらばん」堀江敏幸著、この本を手に取ったのは(Amazonで買ったのでクリックか)半年以上も前になる。芥川賞作品の宣伝文句につられて購入した。十五編の短編が収録された一冊だ。余程気分が変わらないかぎり、編集意図を考慮して目次通り順番に読んでいくことにしている。この本は受賞作で表題の「おぱらぱん」が一番目に書かれているから(自分に課した)ルール通り一ページから読み始めた。
読み始めて3つ目の短編が過ぎた頃、読書を中断し、本を書棚に片付けた。
読書欲が無くなったのである。
原因は(やわらく言うと)苦手な文体だったから。
昔から外国の翻訳本を読むのが苦手だった。言い回しや、引用や、独特のお固い表現?など、全く馴染めず、感情移入も出来ねば文脈すら頭に入って来なかった。特にフランス文学は筆頭だ。ストーリーそっちのけで次々と重箱をつつくように理屈っぽい感情表現のオンパレード。「いったい君は何が言いたいんだ〜」と叫びたくなる。恋愛小説なんだか精神疾患のカルテなんだか分からない。必然、外国文学は疎遠になりもっぱら国内文学ばかり読んできた。
この堀江氏の「おぱらばん」はそんな外国文学の匂いがプンプンしていた。

ファーストコンタクトから半年を過ぎ、再びこの本を手に取ってみた。「おや?」と思う。
二度目に追う文章は一度目ほど抵抗なく読み始めることが出来た。
成る程、これは厄介だ!と思った。小説と思って読んでいたがどうもこれはエッセイじゃないか?
芥川賞もエッセイか?小説か?で意見が分かれたらしい。
エッセイとして読めば、文章としての進行が理解出来る。作者の思いが時間軸に縛られず、自由自在に飛び回ることや、唐突の引用も。
最後に読み終えて、これは作者が蓄積してきたフランス文学に対するオマージュではないかと!思った。真意は定かでない。
堀江氏の他の作品にも興味が湧いた。次は「雪沼とその周辺」でも読んでみようかな。

おぱらばん (新潮文庫)

おぱらばん (新潮文庫)