ファインバーグ・コレクション展「江戸絵画の奇跡」を観て来ました。

江戸東京博物館にファインバーグ・コレクション展「江戸絵画の奇跡」を観て来ました。個人コレクションと聞いて驚きました。時代や時期もあったのでしょうが、そのコレクター魂とでもいうのか、エネルギーを感じました。やはり目玉は入り口すぐに展示してあった俵屋宗達<虎図>でしょうか。まるでご馳走を食べ満腹といった愛らしい姿の猫を描いた水墨画。なんとも言えず品があるのです。
わたしが楽しみにしていたのは鈴木其一<郡鶴図屏風>と円山応挙<鯉亀図風炉先屏風>です、この二点はやはり良かった。どちらも突き抜けて美しい。
その他印象に残ったものは勝川春章<文を読む遊女図>と森徹山<春鶴秋鹿屏風>、森狙仙<親子鹿図>、谷文晁<秋夜名月図>、池玉瀾<風竹図扇面>。どれもすばらしい。
このなかで一風変わった絵に興味を持ちました。<文を読む遊女図>です。これは絵そのものと学芸員が付けた思われる解説が面白かったです。絵は女が一人、障子を開けて縁側に半身を乗り出しているのですが、その様子はなんだか心乱す手紙を見てしまったらしく、とても激しく激情しているのです。手紙を歯で引きちぎり、びりびりにされた手紙が口元や両手、足下に散乱しているのです。解説には夫が愛人から受け取った手紙を見てしまい、嫉妬に狂った様子のようなことが書いてありました・・・が、わたしはどちらかというと若い愛人とか役者などに入れあげた奥方が、縁切りの状でも受け取ってとち狂っているさまに見えました。
今回はとても楽しめた展覧会だったが、このコレクションがまた海を越えていくのかと思うと少し寂しい気持を持ちました。次に観られるのはいつでしょうか。